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「Xmas」まで約一ヶ月。
雲ひとつない青空の元、時雨学園でも生徒達が間近に迫ったそのイベントに浮き足だっていた。
徹自身もそれは例外ではなく、年頃の男子らしい期待を膨らませていた。
気心知れた二人の幼なじみ、ただ一人の家族である妹。腐れ縁の化学教師と憧れの生徒会長、そしてバイト先のマスター。
そんな、自分を取り巻く魅力的な面子の事を考えれば、はやる気持ちも仕方が無い事だと徹は思う。
しかし、近ごろ毎夜見るようになった「不思議な夢」が、徹のそんな淡い期待にちょっとばかり水を指していた。
少し変わったその夢がもたらすのは、「不思議な少女」との邂逅。
それでも楽しい日々はあっという間に過ぎていく。
Xmasまでもう間もなくとなったその時……夢の中の少女が微笑みと共に語りかけてきた。
『おもいで……かえてみたくない?』
その言葉を耳にした時、徹の脳裏をよぎるのは、
遠く幼い……大切な両親を失った深い悲しみに負けないよう、
たった一人の妹と共に誓い合ったあの日。
その言葉の意味を知った時、徹が思い描いたのは、忌まわしい……大切な両親の温もりが、
自分の腕の中で失われていったあの瞬間。
『おもいで……かえさせてあげよっか?』
少女の紡いだ謎めいた言葉は、いつしか徹にとって、
非現実的でありながらも確かな現実としてカタチづくられる。 |